丹波篠山の今後を担う
6次産業と観光

大西 恒輝

●はじめに

丹波篠山市は京阪神から最も近く自然環境や里山が残るエリアである。また中心産業の農業では黒枝豆や山の芋といった地域をあげてPRできる名産品も存在する。そのような都市部に住んでいる人からすると非日常とも考えられる丹波篠山市で2022年11月12日13日に里山アカデミーという観光コンテンツ強化モデル事業として参加させていただいた。
本稿では農業・林業の里山との関係性、また関係人口を増やすための6次産業と観光について論じていく。

●高齢化の進む農林業と生態系

日本では農家の数が減少したり高齢化する中で圃場整備したりトラクターなどの機械の大型化で農業を維持してきた。しかし今回の里山アカデミーでは生産者がさらに減少する中で農業を行う圃場を維持するだけでは正しい里山の関係は築けない、次世代に受け継ぐことはできないことを知ることができた。
もともと人間は里山と適切な距離感があったが時代とともに農業と山に住む野生動物の場所もどんどん降りてきてしまった。そのような現状でも「吉良農園」さんのようにマルチシートの代わりに草を活用したり売らない野菜を圃場に漉き込んで肥料にしたり化学肥料や農薬に頼らない方法を行っている生産者さんも存在する。
そこで農家でも自分の手で山に入り間伐を行い、山を荒らさない・耕作放棄地を作らないことが山を守るだけでなく農業や林業、そして生活にも直結してくることを知ることができた。
また「ミチノムコウ」プロジェクトのようにただ単に生産するだけでなく体験活動やスクール、イベントとして多くの人を巻き込み自分たちでラベルや名前を決め商品を作ることは、環境保全をするだけでなく自発的に里山の未来を考えビジネスとして里山を支える仕組みを0から企画するとても素敵な考え方もあった。

●生産するだけではなくなった1次産業と観光

先ほど取り上げた「ミチノムコウ」プロジェクトに加え生産者でありながら生産するだけでなく、自分たちの手で加工し触れ合える場を作り人々の集まれる場を創造する6次産業がある。このような施設ではあまり農村の経験のない都市部の人に、自分の手で薪割りや田植えイベントを開くことにより地域にかかわってもらうハードルを低くし丹波篠山のリピーター・ファンを作ることが可能だと思われる。
またmoccaや集落丸山のように古民家や里山の風景は、放っておいたら廃墟や荒廃するものが逆に地域特有の資源となり観光スポットの地域拠点になるポテンシャルを秘めているかもしれない。

●まとめ

私自身耕作放棄地という言葉はよく耳にするが、その存在が野生動物や農業にも影響を与えることを知り、1つどこかで乱れると「ヤマ」にも「ノラ」にも「ムラ」にも影響が出てくるものすごく大変なものだと知ることができた。
また高齢化の進む農村でも6次産業として新たな方法で開拓することで、多くの人々を惹きつける可能性を持っている。それはやがてビジネスとなり新たな雇用を生み、地域の後継者となってくれる移住者を生むかもしれない。
そして神戸学院大学共催として丹波篠山市で開かれるイベントの「山賊ワイルドラン」ではより多くの人に地域を知りかかわってもらうきっかけにしなければならないだろう。