里山アカデミー

里山の自然と
そこで暮らす人々の
知恵から学ぶ
体験型アカデミー

里山アカデミーの教室は、
丹波篠山の豊かな里山。
受け継がれてきた
生業や暮らしのノウハウを
体験から学び、知見を広め、
現在と未来に生かす。
一生ものの学びと発見が、
ここにあります。

学べる3つの場所

・山に入り、森林を管理することの大切さを学ぶ
・木を切り出して運び出す。
・切り出した木を使ったお椀づくり、暮らしに木を加える

・田畑を歩き、里山の農業を知る。
・草の堆肥を作るための草刈り。野菜の収穫体験。
・獣害対策の現場を知る、ノラとヤマの境界線を見る。
・『里山の構造』を知る座学

・村のお母さん方と郷土料理作り
・村の人々とともに集落を歩く
・古民家/空き家の新たな活かし方について

私たちの想い

丹波篠山の暮らしに教わる
自分と社会のこれからについてのヒントを

Masse 丹波篠山 生野雅一

里山で気づいた、その地域で暮らすことの意味、暮らす場への責任

コロナ禍を契機に東京から丹波篠山へ移り住んで、この土地の『里山の暮らし』に身を置いてみると、都会での暮らしにはない考え方に出会うことができました。それは、『自分が暮らす地域のことを自分事として考えている』こと。村のおじいさんたちと世間話をしていると、村の100年前の話や、100年後に村がどうなっていて欲しいか、なんて話が当たり前のように出てきます。
そして、自分のように移住してきた人も、地元でずっと育ってきた人も、自分たちの暮らす地域のことを自分事として考えているのです。あくまで変わらないことを大切にしながら、暮らす村を町のことを話し合い、全員で地域の景観を維持する作業に参加する。都会では、自分の住まいの近所に愛着はあっても、こんな風に『自分の暮らし』を考えることはありませんでした。『暮らす』という言葉の意味が自分の中で変化したことに気づきました。

自分の暮らしと、自然が密接に繋がっているという事実

そしてもう一つ、『暮らしと自然、地域の共同体が全て密接に繋がっている』ことにも気付かされました。里山に暮らしていると、多かれ少なかれ自分の生活と自然が地続きになっていることを思い知らされます。これは牧歌的な話ではなくて、逃げ出したくても逃げ出せないほど密接に繋がった野生が目の前にあって、気を抜くと日々自然にまみれて埋もれてしまいます。
そのために、自分の住まいの周りだけでなく、村全体の草刈りや川の清掃など、景観を維持する作業に全員で取り組まなければならない。1人ではとても出来ない作業ですが、地域の人々と一緒にやることで、大がかりな作業も為すことができる。
共同体で生活することの意味と、人とのつながりを再認識した体験でした。大人になってからでも、暮らしを変えたことで新たな価値観に出会う事ができました。

若い世代の未来のために、価値観を揺さぶる里山での体験を

そこで、この里山での経験をもっと若い世代にも体験してもらいたいと考え始めました。『自分が暮らす地域のことを自分事として考えている』、『暮らしと自然、地域の共同体が全て密接に繋がっている』これは、都会では実感しづらい意識かもしれませんが、コロナ禍以降の現代社会を生きていく若い世代にとって、とても重要な事だと感じています。
都会での日常生活では実際にそのようなつながりを意識して暮らすことはないかもしれません。けれども、自分が暮らす社会の中で、里山の暮らしほど目に見えることはなくとも、人や生業はどこかで必ずつながっているという感覚を持って暮らすことは、自分自身の職業選択や将来家庭を持つタイミングなど、人生のターニングポイントにおいて、必ず何らかの意味を持って表出して来るときがあると思います。
そのためにも、高校生や大学生といった若い世代にこの「里山アカデミー」を通じて、里山の暮らしに触れて欲しいと考えました。幸い、この丹波篠山には新しい考え方やものごとを取り入れる風土が育まれています。「なつかしくて、あたらしい」。それが、丹波篠山を訪れる多くの方がもつ印象です。
伝統に寄り添いながらも、現代にアップデートされた古民家再生事業や、農業や林業といった里山保全の生業を通じた関係人口プロジェクトなど、今まさに各地で起きているイノベーションの先端事例がいくつも生まれています。
里山アカデミーでは、その中心となる人たちに出会い交流する場面がいくつもあります。里山を舞台に、地域に根ざした取り組みを続ける人たちの情熱、そしてその考えに触れることで、これから社会に出る若い世代の方々が”地域で働くということ”をもう1度見つめ直すことができるはずです。
ともすれば、今までの日本社会のゴールは都会にあったかもしれません。ですが、私たちのように都会から地域に移り住んだ身からすると、「里山もゴールとしての選択肢がある」と感じます。だからこそ、都会と里山が互いに交流し、お互いを知ってリスペクトが生まれるような関係性を作ることを目指しています。

一方的な「消費」ではなく、交流から双方向の学びを

この「里山アカデミー」を、若者世代への旅と交流の場と位置づけたことには理由があります。コロナ禍を経たことで、『観光』という言葉が持つ意味は大きく変わりました。
これまでの日本社会における観光とは都会が地方を『消費』しに行く意味合いが強いものでしたが、都会と地方で双方向に学びを生むことがこれからの時代における『観光』の役割であるはずです。この「里山アカデミー」のテーマとして、これからの『観光』に必要な2つの要素を軸としています。

レスポンシブル・ツーリズム

参加者が訪問することが地域の力になり、学びを得て帰る事の出来る旅。旅と交流を通して、訪問者と地域が互いに責任を持つことが必要で、観光ビジネスとテクノロジーは自然と文化を守るためのツールであるべきだと考えます。

サステナブル・ツーリズム

訪れる先の地域資源が持つ『文化的多様性』や『伝統的知識』を尊重する旅。里山アカデミーであれば、里山の暮らしが元々内包していたサステナビリティ意識を学び、都会へと持ち帰ること。

参加者も地域の人々も、里山というフィールドを通してともに「経験」し、言葉を交わしながら「思考」し、持続可能な社会に向けて「行動」する。参加者と地域の人々が相互に交流し学び合う、そんな場作りに若い世代の方々と一緒に取り組んでいきたいと考えています。